※評価基準:本記事の5.0は「コートの中にきっちり収める操作性」を最重視した評価です。パワー・球速を求める方には、この評価は当てはまらない可能性があります(詳細は後述「向かない人」参照)。
はじめに
2026年1月、HEADのSpeedシリーズから待望の新作「Speed Tour」が登場しました。
私はこれまでRadical MP 2023、2025年モデルと約1年ごとにRadicalを使い継いできたRadical派です。それでも今回のSpeed Tourは、2025年12月の情報公開と同時に試打もせずに予約購入しました。
結論から言うと、性能面では乗り換えて正解でした。ただし「SPEED」という名前から想像される「弾き」や「球速」を期待すると、良い意味で裏切られます。この記事では、その実感を正直にお伝えします。
試打なしで「予約購入」を決めた理由
これまでSpeedシリーズは、ヘッドサイズ100 in²のモデルが主流でした。100 in²のラケットは試打することはあっても、自分のメイン機として使うイメージが持てずにいました。
しかし今回、97 in²の「Tour」がラインナップされると知り、「このサイズなら自分に合うのでは」と直感し、スペックを信じて予約に踏み切りました。
【本音】デザインはRadical 2025の圧勝
機能面のレビューの前に、正直な感想をひとつ。
デザインに関しては、正直Radical MP 2025の圧勝だと思っています。現在使っているRadicalはストリングもオレンジで統一していて、見た目だけで選ぶなら間違いなくRadicalです。今回は「97 in²のSpeed」というスペックへの興味が勝りました。
第一印象:97 in² ×軽量化が生む振り抜きの良さ
コートで振ってみた第一印象は「明らかに軽い」でした。
- 97 in²の恩恵: Radical MP(98 in²)からわずか1 in²の差ですが、フェイスが小さくなったことで空気抵抗が減り、素振りの段階で振り抜きの良さを実感しました。
- 重量のメリット: ノーカスタマイズの状態で、カスタム済みのRadicalより総重量が約10g軽く、取り回しが非常に楽です。
打ってわかった本質:「SPEED」だが、弾かない・飛ばないコントロール系
ここが今回、一番お伝えしたいポイントです。
「Speed」というシリーズ名から、フラットに叩けば弾丸のような球が飛んでいくイメージを持つ方が多いと思います。私自身もそう予想していました。しかし実際に使ってみると、ストリングの弾き(反発)は弱めで、名前の印象ほど球速は出ません。
これが最も顕著に出るのがサーブです。
- フラットに「ドーン」と押し込むタイプの威力あるサーブは、Radicalの時ほど出ません。
- 代わりに、回転をかけてボールをコート内に収めていく「コントロール型」のサーブに自然と誘導されます。
- 力で押すというより、面の操作性の良さで打点とコースを合わせにいく打ち方が向いています。
ストリングパターンを見ると、中央部分の目がRadical MP(98 in²)と同等のパターンを、より小さい97 in²のフレームに採用しているため、間隔が物理的に密になっているはずです。この「密なパターン」が、弾きを抑えつつコントロール性を高めている一因だと考えています。


つまりSpeed Tourは、球速で押すラケットではなく、打点の再現性とコース取りで勝負するラケットというのが、使い込んでの結論です。
操作性がもたらすメリット
パワー面はマイルドですが、操作性の向上によるメリットは明確にあります。
- ヘッドスピードが上げやすく、無理に力を入れなくても回転がよくかかる
- 振り抜きが軽いため、サービスゲームでもコース球を丁寧に打ち分けやすい
- 中央の密なストリングパターンにより、フラットドライブ気味に打った際のコントロール性が高い
デメリットと向かない人
正直に書きます。
デメリット:パワー不足 「SPEED」という名前から連想される弾きの強さ・球速は、率直に言って物足りません。腕力やスイングスピードでボールを押し込むタイプのプレーヤーにとっては、伸びしろの少ないラケットに感じる可能性があります。
向かない人
- フラットに叩いて相手を押し込む、パワー系のプレースタイルの方
- サーブでスピードを最大の武器にしたい方
- 「弾き」の強い反発力重視のフレームを求めている方
逆に、コート内にボールを丁寧に収めたい方、回転量とコントロールで組み立てるプレースタイルの方には、非常に相性の良いラケットだと感じています。
評価基準について(5.0の根拠)
冒頭の「5.0」は、あくまで「コートの中にきっちり収める操作性」を基準にした評価です。球速やパワーを評価軸にした場合は、この点数にはなりません。ラケット選びの際は、ご自身が何を重視するかで評価の見方を変えていただければと思います。
スペック比較(参考)
| 項目 | Radical MP(98 in²) | Speed Tour(97 in²) |
|---|---|---|
| フェイスサイズ | 98 in² | 97 in² |
| 総重量(カスタム後) | 330g | 325g |
| ストリングパターン | 通常密度 | 中央部がより密(同パターンを小さいフレームに採用) |
| 弾き・反発感 | ラケットにより弾く | 控えめ・コントロール寄り |
| 適したプレースタイル | オールラウンド | コントロール・回転重視 |


セッティング紹介
今回は以下のセットで初打ちを行いました。
- ラケット: HEAD Speed Tour (2026)
- ストリング: ALU Power(アルパワー)× XR3 のハイブリッド


ストリングの打球感については、以下の記事で詳しく解説しています。
肩に優しいテニスを。アルパワー×XR3のハイブリッドをSpeed Tour 2026に張ってみた
まとめ:パワーではなく、コントロールを取りにいくラケット
デザイン面での未練(Radicalのオレンジの美しさ!)はありつつも、「コート内に収める」という一点においては、Speed Tourへの乗り換えは大正解でした。
- 97 in²になったことで、操作性と振り抜きが向上
- 一方で「弾き」は弱く、名前ほどの球速は出ない
- サーブはフラット系ではなく、回転で収めるスタイルに誘導される
- パワーを求める人には不向き。コントロール・回転重視の人におすすめ
「Speedだからパワーが出るはず」という期待だけで選ぶと肩透かしを食らいます。逆に、丁寧にコートへボールを収めたいプレーヤーには、自信を持っておすすめできる一本です。

